これからの日本企業に求められるモデル、組織や情報共有のあり方を探る
21世紀型情報システムを考える-20世紀からの決別-研究会
「時代が20世紀から21世紀へと変わった今、企業情報システムも変わる必要がある。では、どんな風に?」--こんな問題意識のもと、2008年5月にスタートした。21世紀システム研究会は、元サンマイクロシステムズ専務・山田氏が提唱する「フレームモデル」と「情報の海」(下図)をバックボーンとして、①情報システムのあり方、②情報システムの使い方に関する議論を深めてきた。
企業、そしてシステム責任者やシステムインテグレータを取り巻く環境は、クラウドやビッグデータなどを持ち出すまでもなく、めまぐるしく変わっている。それに追従し、あるいは先取りするには何を作るか(what)、どう作るか(how)が問われる。21世紀型のシステムを具現化するwhatとhowを問い直すことは、きわめて重要である。
情報システムは、かつてない変化を迫られている。当研究会ではそれを、20世紀型、21世紀型という言葉で表現している(図)。図に示した項目の中で特に優先項目と開発手法に着目。昨年後半からプログラム不要の開発ツールの研究・議論を進めてきた。具体的には、Sapiens、Kintone、Wagby、PEXA、Genexusなどだ。これまでに明らかになったことは、各ツールには得手不得手があること。当然とも言えるが、ベンダーはおしなべて、どんな用途にも使えることを強調しがちである。当研究会では、議論・研究を通じて、きちんと特性を理解し、適切な情報を発信していく。
プログラム不要の開発ツールはまだ数多くあり、継続が必要であるが、一方で21世紀システムに関して検討・研究するべき項目も多数ある。そこで今年度は研究テーマを、
・クラウド、特にPaaS
・オープンソース・ソフト(OSS)
を候補としたい。特にOSSは一段と実用性を増し、かつITの先端分野を切り開く存在になっている。この分野を研究するメンバーを増強して、研究会を進めたい。
■ナビゲータ
田口 潤 株式会社インプレスビジネスメディア 取締役 ITLeaders編集長
<たぐち・じゅん> 1984年日経マグロウヒル(現日経BP社)入社。日経コンピュ-タ編集部、日経AI(人工知能)ニュ-ズレタ-編集長、日経情報ストラテジ-副編集長、日経コンピュ-タ副編集長を経て、日経ITプロフェッショナル編集長、日経コンピュータ編集長などを歴任。情報技術を生かして、ユ-ザ-企業のビジネスをいかに成功させるか、支援するかという視点から、企業情報システムのあり方や構築方法、IT業界のあるべき姿などを追いかけてきた。2008年3月末、日経BP社を退社。5月からインプレスR&Dに入社し、編集局長に就任。企業情報システム担当者に向けた新メディアの開発に取り組んでいる。2008年9月には、無料IT誌「IT Leaders」を創刊。
山下正廣 株式会社ヤマティー 代表取締役社長 兼 CEO
<やました・まさひろ>旧国有鉄道(国鉄)系列の情報子会社に入社したことで、IT業界でのキャリアが始まった。オフコンのシステム開発に約2年間携わった後、制御系システムの開発に携わる。その後、オープン系および汎用機の知識を習得し、1992年、当時27歳でヤマティーを設立。システムの受託開発、ITD事業を手がける。 2006年よりNTT データと直接取引を開始し、2007年には同社の技術力が認められ、NTTデータのパートナー企業に認定される。
企業理念である「人を幸せにするために働く」を実現するための取り組みとして、2012年にITD事業を開始。
■実施スケジュール
全5回予定。 株式会社ヤマティー(西新宿にて)