テーマ:「Optimize us!元リクルート最年少役員が世界に発信する、新しいアドテクノロジーとは?」
ゲスト:須藤憲司 KAIZEN platform Inc.,Co-founder & CEO
2013年10月25日 / プライスウォーターハウスクーパーズ
皆様、こんにちは。BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会)/Webビジネス研究会の石田麻琴です。今回は、10月25日にスタートしました第三期Webビジネス研究会についてと、第三期のスタート、そして第11回目のWebビジネス研究会でご講演いただいたKAIZEN platform Inc.,Co-founder & CEOの須藤憲司さん「Optimize us!元リクルート最年少役員が世界に発信する、新しいアドテクノロジーとは?」についてレポートさせていただきます。
Webビジネス研究会の第二期は、日本オラクルさんとアーク情報システムさんのご協力得て、開催させていただきました。第二期Webビジネス研究会のスタートとして、第6回のフィールド&マウンテン・山田淳さんのご講演を特別講演として開催しました。「今まで聞いた講演の中で最も面白かった」というご評価を多数いただいた講演になりました。第7回の日本流通産業新聞社・瀧川正実記者には2012年Webビジネスの振り返りと2013年Webビジネスの展望をいただき、第8回の桃源郷・武田和也さんには震災後のEC事業の危機をいかにして乗り切り、ビジネスモデルを変革させてきたのかをお話しいただきました。第9回のロジザード・遠藤八郎さんには、インターネットの過去・現在・未来をお話しいただき、そして、第10回のKAJIN・林志英さんには、フォーマル子供服というニッチな市場を広げてきたその想いについてお話しいただきました。どの講演も、ゲスト講師の方でしかできないお話をいただき、参加者の皆様の学びになる部分が多かったのではないかと思っています。
ゲスト講師の皆様の「Webビジネス」の捉え方、取り組み方はそれぞれですが、第二期の講師の皆様は少なからずEコマースに携わっている方々でした。フィールド&マウンテンさんは登山道具のレンタル・中古品の販売を、日本流通産業新聞社さんが発行する日本ネット経済新聞は日本で唯一のネットショップ業界紙であります。桃源郷さんは言わずと知れた、ネットショップ専業のいわゆるEC企業であり、ロジザードさんはネットショップ専門の在庫管理システムを開発されている会社です。そして、KAJINさんもフォーマル子供服をインターネットで販売している会社。第二期を括るポイントの1つとしてEコマースがあり、ゲスト講師の皆様には「これまでどのように取り組んできたのか」たっぷり語っていただきました。
さて、第三期です。次のWebビジネス研究会は、何を求めていくのか、考えていくのか。WebビジネスはEコマースだけではありません。インターネット広告(アドテクノロジー)、SNS、ソーシャルゲーム、データマーケティング、アプリ開発、サイト制作、海外展開など、Webビジネスに関わるキーワードは縦に横に、多岐にわたっています。もう既に、一人で情報を集め、すべてを網羅するのは難しいほどです。かくいうナビゲータ石田も、どの分野・どの市場がどんな動きをしているのか、ほとんどわかりません。わかりそうなものと言えばEコマースに関わる部分になりますが、ソーシャルコマースの分野が関わってくると、これまた自分自身でも曖昧になってしまいます。
そこで、第三期のWebビジネス研究会は、Webビジネスにまつわる各キーワードの専門家をお呼びして、その市場の動きとこれからの展開を「参加者全員で考えていこう」というわけです。第一期・第二期の「これまでどのように取り組んできたのか」をお話いただき、自社の肥やしにするモデルとは少し違います。これまでと現状をゲスト講師のご講演から理解し、これからどうなるかを参加者が想像する。ゲスト講師に最先端をお話しいただくからこそ、さらにその先を参加者の皆様が考えることが可能になるのではないかと考えました。そして、今回、第三期のスタートとしてご講演いただいたのが、アドテクノロジーのスペシャリストであるKAIZEN platform Inc.,Co-founder & CEOの須藤憲司さんです。
須藤憲司さんは2003年、株式会社リクルートに入社。リクルート社のマーケティング部門、新規事業開発部門を経て、アドオプティマイゼーション推進室を創設されました。リクルートの集客ノウハウとアドテクノロジーを活用し、600社以上の広告主のオンライン集客の効率を最大化することで様々な顧客のネット事業成長を大きく牽引してこられ、4年間連続で事業の2倍成長を実現されています。リクルートグループ最年少エグゼクティブとして活躍された後、2013年にKAIZEN platform Inc.を米国で創業されました。KAIZEN platform Inc.は創業4ヶ月後の2013年8月にグリーベンチャーズ・GMO VenturePartners・サイバーエージェント・ベンチャーズのVC3社から総額80万米ドルを資金調達した、間違いなく今(国内と言っていいのか世界と言っていいのか)最も注目されている企業のひとつです。
まず「アドテクノロジー」という言葉。この意味を知っていないと、話がうまく腹に落ちていかないでしょう。実は、ナビゲータ石田もインターネット広告を活用する立場にいながら、アドテクノロジーという言葉の指すところを曖昧に理解していました。インターネット広告に関するシステムのことだろうと。アドテクノロジー=インターネット広告に関連するシステムということで間違いないですが、具体的には「広告を表示するメディア」「広告を配信するシステム」「広告の効果を検証するシステム」この3つのシステムのことを指します。広告を出す場所を決めて、広告の内容を決めて、それをしっかりと評価する。より効果的に、より効率的に、広告の力を最大限活かすためにアドテクノロジーが進化し続けているわけです。須藤さんはリクルートマーケティングパートナーズのアド・オプティマイゼーション室時代に約4年間で100億円以上もの費用をアドテクノロジーに費やし、広告の最適化を測ってきたとか。
インターネット広告というと、皆様はどんな活用をされているでしょうか。検索エンジンで特定のキーワードでの検索があった場合、Webサイトを上位に表示するための検索エンジン最適化(いわゆるSEO対策)。検索エンジンで特定のキーワードでの検索があった場合、そのキーワードに連動して表示されるPPC(pay per click)広告(いわゆるリスティング広告)。Webサイトやメールマガジンなどからリンクを張り、そのリンクを経由して会員登録や商品購入を促すアフィリエイト広告。Webサイト上で画像ファイルを用いて表示されるバナー広告。など、すでに活用されている企業もあると思います。これらの広告も、以前は「広告を出稿して、どのくらいクリックされば、ワンクリックあたりの単価はいくらで、それがいくらならOKだ」というような判断をすれば良かったのですが、すでに上辺の費用対効果を検証すれば良い時代ではなくなっています。
理由は、広告を出稿する側が増えてより良い広告枠(広告キーワード含む)が取り合いになっていること。広告をクリックする側のユーザーのリテラシーが上がったことで、やみくもに広告を打っても響かなくなっていること。この2つかと思います。つまり、これからのインターネット広告戦略において必要なのは、しっかりとお客様を定義し、そのお客様がどんな属性を持っているか(他に何に興味を持っている方か)を十分理解した上で、より絞ったより刺さる広告を打てるかどうかなのです。そのためにアドテクノロジーを活用し、データを分析して改善を進めていかなければなりません。もちろん、これからは広告の上辺の費用対効果を見るのではなく、どの広告からアクセスしたお客様がサイト内をどのように回遊しサービスをご利用いただいたか、またサービスをご利用し続けていただけるのはどのようなお客様か。それを一気通貫でウォッチ/改善していかなければいけません。つまり、運用の時代です。インターネット広告の部分最適ではなく、ビジネス自体の全体最適。そのためにアドテクノロジーの進化と活用が求められているのです。
須藤さんのKAIZEN platform Inc.が提供するサービス「planBCD」はサイトの最適化について、さらに一歩先をいきます。自らがWebサイトの改善に試行錯誤し、その成果データを取得して、さらに自らWebサイトの改善を施す、この一連の作業を全てシステム化したのです。Webサイトの改善案は世界中のグロースハッカー(プロダクトに対するユーザーの獲得や利用率の向上など、プロダクトを成長させる職種)が随時提出、それをサイト管理側がサイト上でテストし、その成果データ如何で改善案を採用することができる。簡単に言えば、たくさんの人にアイデアを出させ、データ上効果があったものだけを残し続けることができる、というサービス。データから素早く細かい判断ができるWebならではのサービスだと言える。これによって、経営者はより自社の製品やサービス開発に集中できるはずだと思った。なぜなら、「それをきちんと伝える」というところに時間を割かなくても良くなるわけだから。研究会に参加された皆様はどう思われただろうか。
第11回Webビジネス研究会、いかがだったでしょうか?今回もたくさんの方にご参加いただきました。また、今回の研究会で会場をお貸しくださったプライスウォーターハウスクーパーズさんありがとうございました。次回のWebビジネス研究会は年明け2014年の1月15日@プライスウォーターハウスクーパーズを予定しています。内容等、決まり次第、BPIA事務局よりご連絡を差し上げます。最後になりましたが、ゲスト講師の須藤さん、ご参加していただいた皆様、会場をご提供いただいたプライスウォーターハウスクーパーズ内田会長、BPIA事務局の青山さん、臼井さん、誠にありがとうございました。それではまた次回、お会いしましょう!
内田士郎 プライスウォーターハウスクーパース会長による冒頭挨拶(写真左)、研究会終了後の交流会(写真右)
石田麻琴 株式会社ECマーケティング人財育成 代表取締役社長
< いしだ・まこと> 早稲田大学第一文学部卒業後、インターネット通販ベンチャーに6年間勤務。ネットショップ店長として、仕入・マーケティング・システム構築・物流などを1 人でこなし、1年間で売上7,000%アップ、年商3億円を実現。インターネット通販を中心としたマーケティング支援/マーケティング人財の育成を目的とした株式会社ECマーケティング人財育成を設立。有力EC/Web企業を支援。船橋情報ビジネス専門学校特別講師など人材育成にも注力。その他、商工会議 所での講演、新聞やWebでの連載など。
ご紹介;連載中のITMediaエグゼクティブコラム(http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1302/13/news013.html)
<参加者感想>
・分かりやすく簡潔にまとめられていて非常に良かったです。社内の業務でまさに問題んあっている事例も出てきたので解決のヒントがあり有難かったです。
・KAIZENへの志が非常に素晴らしい話が聴けました。
・2008~2009年に業界が大変化したのはビジネス文書の世界でも同じです。とても興味深いお話を有難うございました。
・似たモデルの事業をやっているのでとても興味深かったです。個人的には技術的な仕組みが気になりました。
・本日は非常に素晴らしいお話を有難うございました。現状から未来の世界のあり方の分析、ビジネスの目的など非常に明確で参考になりました。有難うございました。
・アドテクノロジーのことなどを期待していましたが、他の内容も非常に有用で自社にも取り入れたい事が多くありました。非常にためになりました。有難うございました。
・アドテクノロジーの現状を非常に分かりやすく講演いただき、また今後どういった未来が考えられるのかなどをお伺いでき、最初から最後まで非常に前のめりで拝聴しました。広告の運用、金融に近いという考え方はとても新鮮で印象的でした。
・時代背景と具体的な事業がリンクした分かりやすい講義でした。貴重なお話をありがとうございました。
・冒頭のアメリカのマーケティングのお話が面白かったです。「色」までのトライ&エラーや、クライアントさんの成功事例など、もっとお伺いしたかったです。
・非常に勉強になりました。特に最先端の技術とマーケティングの両方を見えるすごい会社だと感じました。
・改善の大切さを再認識できたことに加え、データに真摯につきあうことの重要性も知ることができ感謝しています。内容は少し難しかったです。
・講師須藤さんは、天才と秀才が混ざった人だと思いました。日本初のメガベンチャーになって欲しい。
・興味ある分野なのでためになりました
・スピードの違いに改めて驚かされた内容であった
・世界中のデザイナーから改善提案がもらえるのが素晴らしいと思いました。