<第3期 第6回 研究会レポート>
(レポーター/池邊 純一)
日 時: 2011年6月15日(水)17:30-19:30、面白交換会 19:30-20:30
会 場: アーク情報システム・本社6階会議室
テーマ: 面白工学研究員による実践事例研究
<相互発表・総括まとめ>
参加者: 富士男♪(渕野康一、座長)、タッキー(かせ沢孝之、副座長)、研究員:ジャガー(三嶽政則)、ブルー(松木剛)、クラウド(佐原剛)、まっちゃん(松下博幸)、ごみちゃん(葛谷正明)、ことみ(臼井琴美)、実験君(池邊純一、記録) 敬称略
配布物:[1] レジュメ、参加者リスト [2] 要旨+ 実践事例フレームワーク [3] 面白工学研究会の3つの課題 (富士男♪先生資料)
1. 研究会ダイジェスト
今回は、面白工学研究会の研究員が各自作成した“私の「面白工学」実践事例(要旨)+実践事例のフレームワーク”を発表し、相互にディスカッションした。
(1)各研究員の実践事例に対して 1. キーワード、2. 工学的アプローチへの訴求点、3. メンバーとの面白交流、の3点について、以下に整理する。
- [ジャガー]
- a.目的(意義)の重要性を強調する、b.経営者の前で褒める、c.二日酔い防止で仕事に没頭する。
- 「創造的な議論を行う」「迷走しそうになったら」「メンバーがやる気になるとき」「メンバーのやる 気がなくなる時」の処し方の体系化。
- 褒めるとともに、面白ネームつけて活用すると効果的である。
- [BLUE]
- a.面白言葉放浪記、b.面白企画提案、c.ブルーを考える。
- 「ブルーを考える」から「色彩心理学からの展開」へのアプローチ。ブルーマンデーへの対処法。
- ブルーからブルースの由来への話題の展開に全員興味津々。語源を辿ってみると[面白発見]がある。
- [クラウド]
- a.面白つぶやき活用、b.今日一番の面白出来事、
- コミュニケーションの活性化につながった「面白画像」「面白ネーム」「絵文字」の活用。議論の活性 化につながった「あたきびフォロー」。職場の活力アップにつながった「挨拶の励行」「面白出来事発表」。
- フィードバックがモチベーションアップにつながる。「でもね」ではなく「そうだね」「そして」をつ ないでいく。
- [まっちゃん]
- a.夢の実現に向け、夢中になる/夢中は面白さの連続となる/面白工学は血圧を下げる(?)。b.チームビ ルディングにおける面白標準。
- PPP(Phased Project Planning)の各局面での面白標準の適用。
- 印象に残らない自己紹介は意味がない。まっちゃん流のボディアクション挨拶はベトナムでも通じた。
- [ゴミ]
- a.面白WAY-1DAYメモ、b.アダブカブダラ:面白呪文、c.面白挨拶:夢の実現集団作成、
- 「面白く」によって感情をコントロールし、「面白プレゼン」(紙芝居の活用)によって場をつくる。
- 面白WAY-1DAYメモは、感情をコントロールして、心理状態を明るくルンルンにさせてから書く。ボ ディーランゲージを「面白」に活用することは必要(メラビアンの法則)。そこで、部下が上司にはしづらい雰囲気(礼儀作法)をどうするかが課題となる (が、そうした職場の儀礼や習慣を良い方向に変 えることが、職場の雰囲気を変える/活力を変えるにつながる(筆者加筆))。
- [実験君]
- a.「組織能力向上策」の体系化、b.「上手なストローク」による前向きな意識への変革、c.「やる気 圧曲線」による見える化(自己管理、他己管理の実現)。
- 体系化された「面白施策」を出来るところから手順化/習慣化して、それを「面白く見える化」すること によって管理する(「面白工学」の手法を実現可能性、再現可能性、測定可能性から実証)。
- 「やる気圧曲線」でやる気の下降傾向、底、立ち上がりの予兆をコントロールできる。「面白ことば」と の相関分析によって「ストローク欠乏症」の改善につなげることができる。
- [タッキー]
- a.オンラインカウンセリング、b.笑いネタをつくる、c.日記を書く、d.SNS参加。
- カウンセリングがノウハウとなる。「笑いネタ」「面白ネーム」の活用と日記/SNSによる効果の確認。
- コメントは天の助けとなるが、ストロークばかり書かれると、余計に落ち込む人がいる。「頑張れ」はダ メ、せいぜい「一緒に」。“You can do it!!”が良い。
(2)全体を通して
- 列挙するだけでなく、面白数字「3」にこだわってブラッシュアップすると、分かりやすくなる(富士男♪)。
(3)面白工学研究会の3つの課題(富士男♪)
- 政治工学、社会工学、金融工学など乱用の感もある。「普遍性(誰でも出来る)」「標準化」を工学であるための要件であると位置付けて、「面白実学」ではなく「面白工学」を目指し、さらに「面白マネジメント」までもっていきたい。
- 「マネジメント」の本質は「セルフマネジメント」であり、誰かに強制されない、自立し自律したマネジメントでなければならない。「面白手法」はドラッカーの言う「マネジメント」に非常に近い(親和性がある)と直観している。最後に、認定書の授与、富士男♪座長からの面白プレゼント(記念品)で、第3期の研究会を終えた。
2. 参加して気づいた「面白工学」の諸側面
- 各研究員の実践例は、同じ「面白工学研究会」の場から生まれた取り組みであるにもかかわらず、バラエティに富んでいた。これまで、組織 の業績向上にばかり目が向けられ、利益を生み出す仕組みとしての、上から目線の人事制度や人事施策に無味乾燥さを感じてきた。「多様さ」こそが、人事制度 設計に取り入れるべきことであり、ライフとワークのバランスのとれたマネジメント、ひいては、社会全体としての豊かさの実現に通じると実感した。
- 人の内面にある心、夫々にある「多様さ」を大切にするところに「面白工学」の真骨頂があり、これからの社会にとって、このことこそが「面白マネジメント」に期待したいことである。
3.記録を纏めて気づいたこと(及び、話題提供)
- 上手なストロークの必要性を学んできたが、今回、「ストローク欠乏症」「余計なストローク」(ストロークばかり書かれると余計に落ち込 む、頑張れはダメ)が議論された。これらの言葉から類推して、「ストローク不感症」「ストローク過敏症」「ストローク肥満症(過剰摂取)」も考えられる。 TPO(Time-Place-Occasion、時、場所、場合に応じた使い分け)という言葉があるが、相手の状況を考えて使いこなすには、ノウハウが 必要である。例えば、どんなに頑張っても解決出来ないほどの重荷や悲しみを背負った人には「頑張れ」は禁句だし、輝かしいゴールが見えている人には “You can do it!!”は素敵な響きとなろう。
- 素人が無造作にこうした言葉を使わない方が良いかも知れないが、お互いに寄り添って生きていく「人」の間には、特に、身近な関係にある 場合には、何気なく使われる言葉が大きな影響を及ぼす。我々は、単に「楽しい」ではなく「面白い」の本質を学ぶことで、生きていく上で必要な言葉使い(ス トローク技術)を身に付けることができる。
- だからこそ、「面白い」を工学として確立して、誰もが「面白技法」を身に付け、実践することができるようになければならないと思う。
4.今後の予定
今回で第3期、全6回の研究会が終了した。今後は、これを中締めとし、番外編を計画していく。また、来年度以降、第4期、第5期と、最初からはじ めて継続して開催することによって、新たなメンバーを増やしていきたい。これまでの活動結果は、纏めて総会等で報告し、BPIA内での認知度を上げていく (富士男♪)。
なお、研究員(同窓生)間のつながり、活動は面白工学SNSや面白交流会などを活用して継続していく。
◎関連記事
富士男だより 「第3期「面白工学研究会」最終回を開催♪」
http://fujio-dayori.seesaa.net/article/210174923.html
<ご参考;第3期面白工学研究会>
◎第1回:オリエンテーションと課題提起~人生も仕事も面白くする
◎第2回:面白主義の実践方法1演習:面白まじめリーダー
◎第3回:面白主義の実践方法2演習:面白要素とやる気
◎第4回:ゲストを迎え、日本人の生き方、働き方を考える ~伸びる会社に笑いあり!
ゲスト:夏川立也 氏 コミュニケーションプロデューサ
◎第5回:面白工学研究員による実践事例研究 「私が面白工学を実践した(している)こと~人生も仕事も組織も面白くするために~」
◎特別編:「仏教の智慧に学ぶ」~「面白工学」の知恵の出し方との接点を探る