会員コラム

“私だから”できること

井ノ上 美和
2013/2/14

 「最近の若者はやる気がない」「指示待ちで、自分で考えたり、行動することをしない」と言う声をよく聞きます。同時に、若者からも「このままではいけないと思うけれど、どうすればいいのかわからない」「将来に希望がもてない」という声を聞きます。

私は高校の時にメキシコを訪れたのをきっかけに、スペインに1年、メキシコに5年滞在し、帰国後も海外営業の仕事を通して、ヨーロッパやラテンアメリカを中心とした世界各国の人々と触れ合ってきました。その中で、日本のあるいは日本人の良いところを再認識すると同時に、今の日本人に足りないものは「自分に自信をもつことだ」と痛感しました。せっかく素晴らしい力を持っていても、それを強みと認識し、表現できなければ、その力を十分発揮することはできません。

調和や平均化を重んじる日本の文化は、一方で、個性や個人の価値観を軽視したり、否定したりする傾向にあります。これまでの教育制度や社会環境を考えれば、個人が自分の強みを認識できず、自分に自信が持てなくなってしまうのは当然かもしれません。近年では効率化やコスト削減に走るあまり、失敗やムダが許されない風潮になってきているのも事実です。つまり、これが正解だ!と思われていること以外、指示を受けたこと以外はやらなくなってしまうのです。チャレンジなど、するはずもありません。調和や効率化が悪いというのではなく、すでに日本人が持っている素晴らしいところはそのままに、これからの国際社会に必要な要素を補っていかなければ、日本はその素晴らしさを強みとして活かすことなく、国際社会の中での役割を果たせずに終わってしまうのではないかと懸念しているのです。

私は、子供の頃から“みんなと同じ”が大嫌いで、とにかくみんながやっていないことをやろうと、“私だからこそ”の道を歩んできました。決められたレールの上を歩かなくても、みんなと同じでなくても、キラキラ輝いて楽しめる人生があるのだということを、若者だけでなく同世代や先輩方にも、身をもって伝えることが、私の役割だと思っています。

2011年末、ある懇親会でBPIA会員の渕野康一先生、通称“富士男♪”さんにお会いし、「君こそまさに“面白まじめリーダー”だ!私の研究会に来なさい」と面白まじめ工学研究会にお誘いいただいたのが、BPIAとのお付き合いのきっかけでした。研究会に行ってみると、蒼々たる肩書きのおじさま達がずらりと並んでいて、私など到底場違いのようでしたが、真剣に人生の面白さや生きがいについて議論を交わしているおじさま達の姿は、とても新鮮で魅力的でした。その後、「目からウロコの新ビジネスモデル研究会」や「Webビジネス研究会」などBPIA主催のほかの研究会にもお誘いいただき、素敵なご縁と刺激をたくさんいただいています。

若者が思っているほど、おじさま達は人生を嘆いたり諦めたりしてはいないし、おじさま達が思うほど、若者はやる気がないわけでも未来に失望しているわけでもありません。私がそれらの世代をつなぐ架け橋の一部になれたら、こんなに嬉しいことはありません。

 

井ノ上美和(いのうえみわ)
株式会社F&S Creations 顧問

 <いのうえ・みわ> グローバル人財育成アドバイザー、ポテンシャルプロファイラー。メキシコ、スペイン在住歴6年のラテン系。旅行、通信、医療機器メーカーなどの幅広い国際ビジネス業界で、マネジメントや採用、社員教育に携わる。個人の強みを発掘し、モチベーションをあげることを得意とし、海外・国内企業で業務・組織改善、人財育成などのコンサルティングや研修を行う。イノベーションが大好きで、学生時代から多くの新制度や新体制を積極的に導入、展開。スペイン語、英語での通訳、翻訳、イベントの運営など、国際ビジネスのサポートも行っている。
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