【レポート】
こんにちは。BPIA/デジタルトランスフォーメーション研究会ナビゲータ―の石田です。今回は6月22日にオンラインで開催された、第11期デジタルトランスフォーメーション研究会の第3回研究会「結局、DXに必要なこととは?~DXをスタートするための初めの第一歩~」についてレポートします。
第3回研究会のゲスト講師としてお呼びしたのは株式会社サンクイット代表取締役の寺澤慎祐氏。寺澤さんは中央大学国際情報学部で講師を務める他、今年スピリチュアルリーダーシップ研究所を設立し、スピリチュアルリーダーコーチとしても活動されています。
寺澤さんはサンマイクロシステムズを退職された後、イギリスのウェールズ大学でMBAを取得しました。その卒業論文のテーマとして挙げたのが「IT投資がどれくらい企業価値を高めるのか」。しかし、研究を進める過程でIT投資だけが企業価値を高めるのではなく、人材組織投資が企業価値を高めるということを知りました。「ITシステムを作るだけではなく、人材組織もつくるべきだ」と気づいたことが株式会社サンクイットを設立するきっかけになったといいます。
寺澤さんが研究会で話してくれたことは主に4つです。
- デジタルであろうとなかろうと事業のトランスフォームは難しい。大きな勇気と決断が必要になる。IT化は進めるとして、トランスフォームを諦めるのも選択のひとつである
- ビジネスをトランスフォームするのではなく、新規にビジネスを立ち上げる方法を考えてみるのはどうだろうか?
- 新規のビジネスの立ち上げを確実にするために必要なことは、適材適所を科学的に実現すること
- DXをスタートさせる第一歩は、革新をリードするチームの人材選定になる
講演内で印象的だったのが、「幼虫がさなぎになり、蝶になる」たとえ話でした。幼虫と成虫の間であるさなぎを真っ二つにすると、幼虫のカタチも成虫のカタチもしていないというのです。真っ二つにすると出てくるのは「液体」です。つまり幼虫はさなぎの中で一度液体になり、再構成をして蝶になる。創造的な破壊を自身でおこなっているというのです。DXを実現するためにはこのくらいの革新が必要になります。相当な危機感がなければ、この革新は難しいでしょう。
実際に危機意識から「デジタル」時代の以前に事業をトランスフォームさせた会社があります。任天堂やサンリオ、ソフトバンクなどがその代表的な例です。これらのトランスフォームについて、表向きは既存事業がトランスフォームしたように見えるのですが、実は既存事業と並行して新規事業が動き出し、その売上・利益配分がトランスフォームしたというのが真実なのではないでしょうか。Appleもパソコンをやめたのではなく、iPhoneにその基軸を変えたのが現実です。たしかにと納得がいく事例でした。
「トランスフォームをするのは難しいので、新規事業をはじめよう!」これが寺澤さんのメッセージです。結局、人材組織は簡単にはトランスフォームできないですから、新規事業を立ちあげ、それに沿った人材組織をつくるのが良いのではないかと私自身も感じました。
さて次回のDX研究会は9月の開催になります。皆さんまた研究会でお会いしましょう。
【開催概要】
タイトル | 結局、DXに必要なこととは?~DXをスタートさせるための初めの第一歩~ |
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日時 | 2022年6月22日(水) 17:20〜 アクセス可 17:30-19:00 講演及び質疑応答 |
講師 | 寺澤 慎祐 氏 (株式会社サンクイット 代表取締役/中央大学 国際情報学部 人的資源管理論 講師) |
開催方法 | Zoom ※ご参加者様へは別途開催情報をお知らせいたします。 |
対象 | BPIA会員、会員ご紹介者 ※ BPIAご入会に関心をお持ちの方歓迎します! |
【講演内容】
DXを目指す会社や担当部門が、「DXはテクノロジーの話だと思っている」
「DXは開発手法の話だと思っている」のであれば永久にDXはできません。
DXは間違いなくテクノロジーの話ではありません。
デジタルとあるので技術の話かと思いますが、それが大きな勘違いです。
この講演では、DXの本質とはなにか? 結局のところ何が必要なのか?
DXをスタートさせるための初めの第一歩とは何か?についてお伝えします。
◎講師プロフィール
寺澤 慎祐(てらざわ しんすけ)氏
株式会社サンクイット 代表取締役/中央大学 国際情報学部 人的資源管理論 講師
日本の大手企業、日本のベンチャー、外資系大手企業、外資系ベンチャーで仕事をし、エンジニア・営業・マーケティング・ビジネス開発に従事した。
2010年の英国ウェールズ大学ビジネススクールでの修士論文にて、ITだけでは企業価値を高められないことに気づき、人材開発と組織開発に取り組む。
2017年に株式会社サンクイットを設立し、企業向けの組織変革コンサルティング、経営者やリーダー向けのコーチングをしている。
■ナビゲーター
石田 麻琴(株式会社ECマーケティング人財育成 代表取締役)