レポーター: 中谷勝明 アンテナハウス株式会社 OEM営業グループ
皆が実践できる「イノベーションプロセス」を考える ワークショップの第3回目が2014年2月7日に実施された。
今回は大きく分けて以下の2構成であった。
・常識を打ち破るアイデアの出し方「常識―非常識」
・「創造的課題解決プロセス」プロセス順と第1フェーズ「共感」について
毎回講師の渡邊氏のトークを交えながら楽しく参加させてもらっているが、個人的に参加してみて毎回思うことは参加メンバーから多種多様な意見が出るという点である。これは大前提に全員参加で、人の発言を遮らず、自分と異なる意見を尊ぶというルールの元行われており、自分では発想し得ない意見に毎回感心させられる。 今回第3回目のレポートを私個人の感想を踏まえながら簡単にまとめさせていただいた。
構成1:「常識-非常識」
奇抜なアイデアがなかなか出ない場合に、常識に対して
1.常識を誇張する。
2.常識をリバースする「反対」。
これらを組み合わせて新しいアイデアの可能性を探るというものである。
演習では、ファストフード店のコンセプトとして、常識、誇張、反対でそれぞれ意見を出し、誇張と反対の組み合わせでチームごと簡単なプレゼンを行った。 ちなみに当グループでは、 常識:ドライブスルー 誇張:ロケットスルー 常識:トイレあり 反対:トイレなし の組み合わせで、「ロケットスルー」+「トイレなし」という一見何の脈略もないワードに対してグループ内で提供サービスを考えるというものである。
このようなワードに対して意見を出し合うということはこれまでに行ったことがなく、常識にとらわれないものの考え方として、常識の反対を考えるくらいは思いつくと思うが、誇張し、反対と誇張を組み合わせてアイデアの可能性を探るという方法は大変斬新に感じた。
構成2:「創造的課題解決プロセス」プロセス順と第1フェーズ「共感」について
なにか新しいことを生み出すための「創造的課題解決プロセス」の正しいプロセス順と、第1フェーズの「共感」についての講義演習を行った。 プロセス順については、前回の宿題で正しいプロセスの順番を各自考えよという課題があり、私自身の回答は、先ず問題があり、それを共感、思考し、プロトタイプを作りテストを行うとプロセスを考えていたが、これは間違いであった。
共感 -> 問題定義 -> 創造的思考 -> プロトタイプ -> 検証
が正しいプロセスで、先ず「共感」せよというのが第一である。
薬の処方を例に挙げ、処方(解決策)の前に診断(現実を理解し共感する)が必要ということで、大変わかりやすく理解することができた。(共感=診断である。)
次に、第1フェーズの「共感」についての9つの原則(9つの原則に関しては詳細を省く)と共感形成する上での2つのネックについて講義演習を行った。
共感形成のネックは2つあり、
1.共感機会形成不全。
2.共感コミュニケーション不全。
である。
1つめのネック(共感機会形成不全)
相手と「共感機会形成」ができなければ、我々が問題意識を持っていたとしても相手に共感する前に終わってしまう。(相手の部屋に入れない。)多くの場合は、相手方から解決策を求めてくるが、このとき策を答えるのはまだ早い。共感(診断)する前に策を語るな。
2つめのネック(共感コミュニケーション不全)
「共感機会形成」ができたとしても十分に相手のニーズ(要望・悩み)を聞き出せなければ(質問力不足)それは共感コミュニケーション不足である。 薬の処方の例を当てはめると、 診断して処方する際に患者のニーズを取り入れなければ薬を飲まない。 たとえば、粉薬が苦手な患者に粉薬を処方したり、眠くなる成分を含むものをドライバーに処方したりと薬自体の効き目はあるが、それを飲めない(飲まない)患者に処方しても無意味である。(このような医者はいないと思うが)という理解になるかと思う。
私の場合では、 現在の仕事はソフトウェアの部品(ライブラリ)の販売である。 お客様はソフトウェア会社が多く、自社のシステムや製品に弊社の部品を組み込みたいという問い合わせと、新規でこのようなものが作れるかという問い合わせに対応し、お客様に必要な部品や開発を提案している。 私自身思い起こすと、「共感機会形成」時に先に解決策を列挙し、それから共感しようという節がある。これは、お客様が弊社の部品を必要としてアプローチされるため、すでに共感しているものと錯覚している可能性があるのではないか。お客様の中には、なかなか情報を出してもらえない場合もあるが、そもそもそれは「共感機会形成不全」であり、お客様に共感しなければ情報を得られない。また、解決策に関してもお客様のニーズが合わなければ無意味である。という点を改めて考えさせられた。
最後に、
今回のワークショップでは、私自身の仕事に役に立つヒントが多々あった。特にソフトウェアでは、完成形というもが存在せず、時間と費用があればいくらでも良くできるものである。それが故にお客様の期待度と現実がかけ離れてしまい、クレーム対象になるケースがある。これらはお客様と共感することにより期待度と現実とのギャップをなるべく少なくすることが可能と思われる。思い立ったらやってみるということで、今後お客様との商談時は共感に重点を置いたアプローチを試していきたい。
以上
◎皆が実践できる「イノベーションプロセス」を考える研究会のページ
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